カテゴリー「妄想大河 治長」の16件の投稿

2011年11月24日 (木)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑮最終回~君を乗せて~

城の裏手にある山里曲輪の中に、燃え盛る城の炎を避けるように私達は身を潜めた。
夜が更け、徳川方の攻撃も一時止み・・・ここ数日の戦闘の緊張感・・・眠ってはおらぬだろう皆々は疲れ果て、口を聞くものもなく・・・短い眠りに落ちるものもあり・・・蔵の中は、静まり返っておった。私も戸口近くにもたれ・・・控えておったが、短い間、ふと眠りに落ちたのだろうか・・・衣擦れの気配に、はっとして顔をあげると、側に淀の方様が・・・私を覗き込んでおられたのだった。私は、慌てて、身を正そうとした。
「治長・・・・そのままでよい。」
天窓から、城を焼く赤い光が漏れ入り・・・淀の方様の頬を、赤く照らしていた。・・息を呑むほど、美しかった。私は、居を正すのも忘れ・・・ただ、その瞳をみつめていた。
以前に、このようなお顔を見た事があると思うた。そう・・・あれは、まだ15の頃・・・。北の庄の城から茶々様のお手を取り、城から逃げた日のこと。燃える城を見つめる茶々様の横顔を、息を呑む思いでみつめた時のことを。。。
淀の方様は、静かに話し始めた。
「そちが、千姫に私達の助命託したこと、感謝いたしておる。私はともかく、秀頼のこと、私は、まだ、その一縷の希望に、すがりたいと思うておる」
「はっ」
「秀頼の助命叶えば・・・・私は・・・もうよい」
「・・・・あきらめてはなりませぬ・・・」
「・・・よいのじゃ・・・もうよい」
淀の方様は、そう仰せになると、ふっと笑みをもらし、懐かしそうに、遠い目をされ・・・独り言のように、つぶやかれた。
「治長は・・・・覚えておるか?北の庄の城が落ちた日のこと。私は、そなたの背中につかまり、あの日、馬に乗り、野を駆けた。生きている実感を、確かにこの身に感じたのは・・・あの時が初めてだったように思う・・・。」
私は驚き・・・息を呑んだ。。。あの日のこと、淀の方様は覚えておいでになった。。。
淀の方様は続けられた。
「私は・・・間違った生き方を、選んでしもうたのかもしれない。。。私は、負けとうなかった。。。あの日、城を焼いた炎に、私から大事なものを奪い取っていく炎に、負けとうないと思うた・・・。それなのに・・・私は、自ずから炎に包まれる生き方を選んでしまったのかもしれない。・・・・私は・・・・私は・・・・負けたのじゃな・・・」
そういうと、淀の方様は、静かに嗚咽しはじめられた。。。
「お方様は・・・・」
私は、思わず、声を強めた。
「お方様は・・・・見事にござりました。・・・・見事に生きて参られた・・・」
淀の方様は、涙をぬぐい、
「治長・・・褒めてくれるか。私は・・・そなたの背中で、また、野を駆けてみたかった・・・」
私は、胸が熱くなった。。。この願い・・・・叶えてさしあげること・・・叶わぬ。。。

そのまま、私達は、並んで、長い間、黙って、座っておった。。。
淀の方様は、いつのまにか、私にもたれて、幼子のようなお顔をして、お眠りになった。。。ずっと、眠りにつけずにおいでになったのであろう。。。せめて、ほんの少しの間でも、安心して、眠っていただきたい。。。私は、身動きもせず、淀の方様の寝息を聞いていた。そして、そっと、その御手に、自分の手を重ねてみた。。。
私は・・・この方を・・・ずっと見つめて参った。その寝顔を見つめながら、私は、この方の人生を思った。幾度となく戦いのために、大事なものを奪われ、そして自らの運命を受け入れ、孤独に耐え、この大坂城という大舞台で、見事に生きてこられたと・・・。今、こんなに幼い顔をなされて眠られている・・・あの日の茶々様にもどられたかのように・・・。私は、茶々様の手を、握りしめていた。。。そして、彼女に、私の最後の歌を・・心の中で歌っておった。。。


「昨日は・・・郭の中で、寝た。あの娘と手をつないで・・・
山里曲輪の中・・二人、毛布にくるまって・・・
Car radio から、スローバラード 夜露が窓を包んで・・・
悪い予感のかけらも ないさ
あの娘の 寝言を聞いたよ ほんとさ 確かに 聞いたんだ
Car radioから、スロー・バラード 夜露が窓を包んで
悪い予感のかけらもないさ
僕ら 夢を見たのさ とても よく似た夢を
(RCサクセション ~「スローバラードより」)

あの日、茶々様を背に・・・馬駆けた日・・・。私も夢を見た。
この姫を、ずっと、お守りしたいと。。。彼女が、「馬を持て」と、私に命じたあの瞬間に、私は自らの運命を決めたのかもしれぬ。。。私は、その運命に、負けたとは思いたくない。この眠りが覚める頃に・・・・徳川からの返事が届いてほしい。。。秀頼君と、淀の方様の助命が叶うと・・・。このお方に、馬を走らせ、野を自由に駆けさせてあげたい・・・。私の最後となるであろう朝・・・彼女が豊臣の重圧から離れ、新しい人生を歩まれるという希望を知ってから・・・私は逝きたいと・・・強く願った。どうか、お二人の助命・・・叶えられてくれたまえ。どうか・・・どうか・・・。

やがて、朝が訪れた。
蔵の外は、すでに私達の居場所を知った徳川の兵に囲まれていた。
徳川から、私に面会したいとの使者がまいった。私は、一人、・・・蔵を出た。
銃口がいっせいに私を狙う中、私は問うた。「千姫様は、無事に家康公のもと、届けられたか」使者が二人、黙って、かぶりをふると、私の隙をみて、私を捕らえようとした。私は、その手を振り払い、懐に忍ばせておいた爆薬をふりかざし、叫んだ。
「おのおのに、捕らえられるような修理ではない。ご助命が叶ったとの報だけを、もたらせ!それまでは、手出し無用!」そして、蔵へと走り戻った。。。お方様は、昨日の涙の後もみせず、毅然として、秀頼公の横に座しておられた。すべての運命を、受け入れる・・・そのような毅然としたお顔で。

その瞬間であった。いっせいに、徳川の軍が蔵にむかって、射撃をはじめたのだった。
私は、すべての希望が消えたことを知った。とっさに、淀の方様と、秀頼公の前に走り出て、両手を広げておった。徳川の名もなき兵の放つ銃弾などに、お二人を撃たせてはならない。・・・・背中に、淀の方様の声を聞いた。
「治長・・・・」
私は、振り返った。別れを・・・・申し上げなければならない時が来たことを知った。淀の方様は、私を黙って見つめておられた。私は、膝をおとすと、「・・・最後まで、お仕えできて、幸せにござりました・・・」と・・・それだけを振り絞るように言った。今までの淀の方様との日々・・・脳裏によぎった。
さらに、はげしく撃ち込まれる銃撃に「お二人を撃たせてはならぬ!」と叫ぶと、奥の間に、皆を案内した。戸を閉めて、振り返った瞬間・・・・背中に痛みが走った。銃弾を背に受けた。私は崩れ落ちるも・・・「火をかけろ!」と、叫んだ。お二人の最後・・・徳川にさらすわけにはいかない。せめて誇り高き御最後を・・・。
勝長が、火を放った。。。皆が、それぞれ向かい合わせに、剣をにぎりしめ介錯し合い・・・無言で急ぐように命を絶っていくのが・・・薄れいく視界の中にみえた。私は、必死に、淀の方様が静かに座し、剣を喉元に当てられているその場所に、這いながら、少しずつ近づいた。秀頼公が、切腹され、勝長が介錯し、後を追った。隣で、淀の方様は・・・・近づく私の姿を、じっと見つめておられた。目を逸らすこともなく、じっと私の瞳をみつめながら・・・彼女の人生を、私に見届けよと・・・そう仰せになっておられるかのように。
私は、最後の力を込めて・・・・「お方様!」と、声に出した。。。
淀の方様は、私にむかって、笑みを浮かべられると・・・最後に確かに、こう仰せになった。
「治長!・・・・馬を持て!」剣先に力が込められた。
私は同時に叫んだ。「姫君!・・・・乗られよ!」
そして、懐から、爆薬を取り出すと・・・天井から漏れ落ちてくる火の粉にむかって、高く掲げた。




宮川は、徳川軍の山里曲輪への一斉射撃が始まったのを知ると、陣を出て、大坂城に向かって走った。と、瞬間、ものすごい爆風の元、山里曲輪のあたりから、凄まじい炎が上がるのを見た。

宮川は、すべてが終わったのを知った。「殿!」と叫ぶとよろよろと崩れ落ちた。
やはり、、落ち延びた侍女達、家来達が、その吹き上がる炎を、泣きながら、見つめた。
徳川の陣営のひとつから、片桐且元もよろよろと出てくると、・・・・絞りだすような叫び声をあげ、何かに衝かれたかのように甲冑をとり、腹を切ろうと、懐を開いた。

宮川も、剣をとり、自らの喉元にあてた。。
「殿・・・・お供いたしまする・・・某も参りまする」

と、背中に、声を聞いた。
「待たれよ」

振り返ると・・・修験者の一行がそこに立ってこちらを見ておった。
先頭の、派手なマントを羽織った痩せた一人の修験者が、こちらを見て、ゆっくり首を振った。すべてを包みこむかのような・・・優しい顔をしたその修験者は、着ていたマントを脱ぐと、お付きの修験者に渡した。すると、それが合図のように・・・修験者達は、手にしていた弦や太鼓や篳篥で、演奏を始めた。そして、マントを脱いだその男が、杖を高く掲げると、歌を・・・・歌い始めた。

「夜から朝に変わる、いつもの時間に、世界はふと考え込んで、朝日が出遅れた。
なぜ悲しいニュースばかり、従者は言い続ける。なぜ悲しい嘘ばかり、俺には聞こえる。
OH!荷物をまとめて、旅に出よう。OH ! もしかしたら、君にも会えるね。
JUMP!夜が落ちてくるその前に。 JUMP!もう一度高く、JUMPするよ。

何が起こってるのか 誰にもわからない。いい事が起こるように、ただ願うだけさ
眠れない夜ならば 夜通し踊ろう。 ひとつだけ多すぎる朝 後ろを付いてくる
OH!忘れられないよ。旅に出よう。 OH!もしかしたら、君にも会えるね。
JUMP 夜が落ちてくるその前に JUMP もう一度、高く JUMPするよ

世界のど真ん中で、ティンパニーを鳴らして その前を殺人者がパレードしている。
狂気の顔で空は 歌って踊ってる。でも悲しい嘘ばかり 俺には聞こえる。
OH!くたばっちまう前に 旅に出よう。OH!もしかしたら 君にも会えるね。
JUMP!夜が落ちてくるその前に。JUMP!もう一度高く、JUMPするよ。
JUMP!夜が落ちてくるその前に。JUMP!もう一度高く、JUMPするよ。」

聞いていた侍女たち、家来達は・・・その歌声に乗せられるかのように、泣きながら、次々に歌いはじめた。重たい甲冑を外し、やがてジャンプしながら。。。その声はどんどん大きくなり・・・徳川の兵達までもが、兜や甲冑を、次々に脱ぎ捨てると、歌い、そして、ジャンプしはじめた。宮川はその皆の歌声を聞き、我に返った。そして、立ち上がった。持っていた刀を、振り落とすと、まっすぐに燃えあがる城の炎を見つめた。且元も・・・・我に返ると、刀を捨て、こみ上げてくる涙を隠そうともせず、泣きくずれた。
歌声は、どんどん広がり、大坂城を囲むすべての兵達、逃げ遅れて惑う街の人たちも、やがて、歌にあわせて、自らも声を張り上げ、歌いはじめた。皆が、銃や刀を投げ捨て、ただ、泣きながら、歌い、踊り、ジャンプした。歌声は、炎より高く、空に舞い、野や山に広がっていった。宮川は、その歌声の中に・・・確かに治長の篳篥の音を、聞いたような気がした。

                   おわり。。。 

     ~ リスペクト忌野清志郎「JUMP!」より~

 

 

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2011年11月17日 (木)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑭~君を守りたい~

決戦の火蓋が落とされた。
猛然と家康本陣に攻め入った幸村軍は徳川軍を蹴散らし、最初の報告の使者は、「家康公ついに切腹!」との報をもたらした。わが軍は沸きかえった。が、一転、家康は寸出のところで逃げ遂せたとの報。空となった本陣へ討ち入った幸村殿は、そのまま後ろを振り返ることもなく、敵陣深く斬り込んでいき・・・使者もその姿を霧の中、見失ったという。。。真田軍の壊滅に、毛利軍も撤退を余儀なくされ、勝長殿も帰還してまいった。城は囲まれた。
懸命に応戦するも、城を囲んだ徳川の兵達は、矢に火をつけ、いっせいにわが城へと打ち込んでまいった。城のあちこちから火の手があがった。
もしも、このような事態が起きれば・・・最後の最後、なんとしても秀頼公と、淀の方様のお命だけでもお救いする方法はないかと、考えておった。その策を勝長殿に打ち明けると、「分かった。修理殿。私も豊臣の御血・・・なんとしてでも残したい。そうでなければ、あの世で太閤様に、どのような顔して会うてよいか分からぬでの。それが適った暁には、某も修理殿とともに、死のうではないか。それまでこの命、惜しもう」

城の守りを治房に頼むと、最前線で戦っておった宮川を呼び戻した。すぐに、秀頼公と、淀の方様を安全な場所にお移りいただかねばならぬ。私たちは秀頼公のもとへ急ぎ走った。勝長に淀の方様達を、山里郭へと案内させる中、私は千姫様を呼び止めた。
「千姫様に、願いがありまする。今から、この修理の書状を、御祖父であらせられる家康公のもとへ、届けていただきたい」
千姫様は、「それは、私に、城を出ろということでありまするか」と、私を見つめた。
私が頷くと、千姫様は涙を溜めて「嫌にござりまする。私は、最後まで、殿と供に・・・」と仰せになると、秀頼公の後を急ぎ追おうとなされた。私は、そのお手を取り、引き止めた。
「この書状には、この度の戦、すべてこの修理が企んで起こしたもの。秀頼公と、淀の方様になんの罪もないこと。この敗の罪はすべてこの修理の罪であるゆえ、私の切腹を引き換えに、秀頼公と、淀の方様のお命をお救いくださるように、書いてござりまする。これを、他でもない孫娘であらせられる千姫様がお持ちくださり、家康公に、豊臣が再び戦いを挑む気など、けっしてないことお説きいただければ・・・お二人の命、お救いできること適うかもしれませぬ。・・・どうか、どうか、ここは、お二人の御命、お救いするために、この修理の願い、聞き届けてくださりませ」
千姫様は私をじっと見つめた。そして、涙を一筋落とされると、手紙を大事そうに懐にお入れになった。
私は、宮川を呼び、、千姫様を徳川軍のもとまで、無事送り届けるよう命じた。宮川は、「その役目、別のものに、お命じくださいませ」と、言い張った。「私は、最後まで、殿とともに、この城に残りまする。その役目、どうか別の者に・・・」
私は首を振った。「この大事な役目。そち以外に託せぬ。私の最後の仕事じゃ。頼む、宮川・・・・聞き入れてくれ」そして、まだ城に残っていたファンクラブの会員侍女達も、千姫のお供に連れていくよう命じた。千姫のお供とあらば、徳川軍も手出しできまい。一人でも多くの者どもの命、救いたい。残ると言い張る侍女達を一喝して、私は、声を荒げた。
「そなた達は、生きねばならぬ!」
「治長様!」「修理様!」口々に、侍女達が絶叫するように、私の名を呼んだ。
「大丈夫だ。戦が終われば・・・また、淀の方様のもと皆で笑ってお仕えできる日もくるであろう。。そのためにも、そち達は、今、生きねばならぬ」私は、笑ってみせた。

すると、侍女達のひとりが、進み出て、私にむかって口を開いた。
「治長様は、私達の、光にござりまする。。。治長様の篳篥の音が、私達の希望の音でござりまする。。。必ずや、生きて・・・どうか・・どうか、生きてまた、私達にその調べを・・・お聞かせくださりませ」
そして、皆が、私の元へ駆け寄り、歌いだしたのじゃった。

「Say good bye  ただ good bye 全ての煩わしさに good bye
Say good bye ただ good bye 変わること恐れずに good bye 

あても無く ただ歩いて 疲れた日々の宝に good bye
進んでいく 道標は 最初と同じ風のままに

If you can’t find a way いくつもの winding road  
空に手をかざして round & round
まだ見ぬ土地に 不安覚えながら 小さな詩に 訪ねる

Please songs tell me true
君のメロディー 何処にいても 鳴り続けている
またいつか 一人迷っても 聞こえたなら 軽やかに歩き出せる

Say good bye ただ good bye
傷つくのを恐れずに good bye
手の中の持ちきれない思いは 全て捨てていこう

Please songs tell me true
君のメロディー 何処にいても 鳴り続けている
もし何処か 一人迷っても 歌えたなら しなやかに歩き出そう
Good bye

       「GOOD BYE 」(hide~ロックミュージカルピンクスパイダーより)

目に涙をいっぱいためて、何度も振り返りながら、彼女達は去っていった。
私は、ずっと彼女達の背中を見守った。城での懐かしい日々が蘇り、胸が熱くなった。。。彼女達は、私の調べを、いつまでも覚えていてくれるであろうか。。。私が生きた証を、心に刻んでくれているのであろうか。。。

宮川は、怒ったように、口も聞かず、振り向きもせず、去っていった。が、たぶん、宮川は、必死に、秀頼公と淀の方様の助命を嘆願してくれるであろう。。あとは、天に託すばかり・・・。どうか、神よ。淀の方様と、秀頼公の御命を守りたまえ。彼らは、豊臣の名の下に戦ったすべての者達の最後の光。そして、淀の方様・・・・君は・・・私の光。
私は・・・・君のまるで影のように生まれ落ち、そして生きて参ったのであるから。
君を・・・守りたい。。。。
      ~つづく~  

  

 

 

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2011年11月16日 (水)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑬~最後の戦い~

徳川軍を迎え撃つ戦いが始まった。
弟の治房は、大和郡山城を落とし、私の軍も堺から一歩も浅野軍を入れさせるものかと、決死の戦いを挑んだ。が、しかし、徳川軍は、予想以上に数が多く、東から南から、溢れかえるように押し寄せてまいった。後藤殿が味方の援軍を待たずに進撃し討たれ・・・・長宗我部隊も徳川軍に囲まれ壊滅・・・まだ若き重成も、敵中に一人攻め入って、戻ってはこなかった。
我々の軍は、大軍に押し返されるがごときに、その円を小さくし、いつしか大坂城のすぐ眼前にまで、押し詰められていた。その周りには、徳川軍17万の兵が押し寄せて溢れかえっておった。

戦いがはじまって7日・・・城の周り、岡山方は治房が、天王寺口には幸村殿と、毛利勝長殿が、そして、後詰めとして、私の軍が、大坂城のすぐ側を取り囲み、徳川軍と対峙しておった。最終決戦の時は近い。。。
私達は、幸村殿が陣をおく茶臼山で、軍議を開いた。数で負ける私達の軍、こうなっては、わが豊臣の勝利をもたらす策はただ一つ。家康の首をあげることしかない。私達は周到に作戦を練った。
まず秀頼公ご出陣の声とともに、、幸村殿と、勝長殿が両脇から家康本陣めがけて進撃。秀頼公御自らのお姿に、決死のわが軍勢、必ずや息を盛り返し、家康の首を掲げ、それに混乱した徳川軍をそのまま一気に押し戻す。それでも城に突入しようとする輩は、わが軍と、治房の軍で押しとどめる。決死の戦いとなるが・・・私達の意思は固い。なんとしてでも、ただ一人になろうと、家康の首をあげ、秀頼公の勝利を宣言するのじゃ。

私は、城に使者を送った。「今、まさに、秀頼公ご出馬の時にござりまする!御身は私が何としてもお守りいたす所存でござりまするゆえ、晴れがましいお姿、皆にお示しくださりませ!」出陣前にも秀頼君とは念密に打ち合わせ、合図とともにわが陣地へ参じられる手はずとなっておった。

陣地で秀頼君の到着を待っておったか、いつになっても御出陣の報がもたらされない。
焦った幸村殿から、出陣の要請が何度も届く。皆、気持ちは一緒である。徳川軍本陣に深く討ち入れば、たとえ、家康の首上げようとも、戻ってこれるはずもない。皆、死を決しておる。せめて、秀頼公の馬前で果てたいという気持ち、痛いほどわかる。
私は、再び、急ぎ城へ使者を送った。戻りきた使者は、「淀の方様が頑なにお許しにならない」とだけ告げ、悔しげに涙を流した。

私は・・・冬の陣の際、「ならぬ」と私に言った淀の方様の表情を思い出した。。
説得にいかねば・・・。ここを我慢なされてこその御大将の母君であると・・・。

が、夜明けまで時間がなかった。幸村殿から「某は、秀頼公のご出陣を待たずに討って出る。この朝を逃せば、徳川全軍の進撃がはじまり、家康の首あげること適わぬ」との使者が参った。
私は、自ら茶臼山に馬を走らせた。途中、肩の傷から出血し、痛みに気を失いかけたか・・・今を逃せば、幸村殿は、一人、家康の陣に突っこんで行かれるだろう。私は、どうしても、そのまま行かせとうなかった。馬を走らせながら、私はいつのまにか、泣いておった。私の力のなさが、豊臣を、そして、豊臣を守ろうと馳せ参じてくださった武将殿達の決死の働きを、無駄にしようとしているのではないか。。。
「某に、もっと力があれば・・・、某が・・・某が・・・・」私は馬を走らせながら、いつのまにか、声をあげて、泣いておった。

茶臼山に着くと、幸村殿と、そして、勝長殿が、待っておった。私は、膝を落とし、彼らに謝った。「かたじけない。。。秀頼公の、ご出馬が・・・ならぬ。・・・・かたじけない。かたじけない」

幸村殿は、こう言った。
「修理殿。なんという面をなされておる。血だらけではござりませぬか。手当てをいたされよ。叱られた子のような顔をなさいますな。修理殿は、豊臣軍の全軍の指揮をなされる御身であらせられるぞ。」
勝長殿も、晴れ晴れと、歯をみせて笑うた。
「某は、今も秀吉公から受けた恩、忘れてはおらぬ。最後まで、秀吉公の御ため、恥ずかしくない戦をしたいだけじゃ。修理殿に頼まれたから、わざわざ海を越えて、馳せ参じたのではない。勘違いをいたすな。私は家康の首上げて、堂々と大坂城に戻って参るぞ。それまで修理殿は、しっかりと城をお守りくださりませ!」

幸村は、私を起こして立たせると、こう言った。

「あの城郭でつくった翼があるさ。OH・・・yeah。大丈夫さ。ぼろぼろでも、まだ飛べるぜ。」

そして、また、真田バンドが音を刻みだしたのじゃった。..

幸村が静かに、歌いだした。
「Boys on dream Boys on dream 初めて見たよ お前の流す涙。笑っていいか。似合わない弱気な背中。言いたくないなら聞きはしない。朝まで杯に酒、注ぎ足してやるだけさ。昔も今も、俺達は遠い日のまま。時の流れが夢の形変えても、あの城郭で作った翼があるさ。OH・・・YEAH・・・。大丈夫さ。ぼろぼろでも、また飛べるぜ。」

そして、勝長もそれに続いて、こう言った。
「俺達は、いつからガキじゃなくなったんだろ・・・俺達はいつから大人になったんだろ・・・We can never change」
そして、歌いだした。
「Friends and dream friends and dreamそれぞれの道、いつかは見つかるはずだから くだらぬ賭けをして別れよう。思い出の半分はいつまでもあいつらさ。朝日のスクリーン映る笑い声が、最後の戦い、どこまでも押していく 俺達ずっと、石ころのダイヤでいような。そいつだけは守れそうな約束だったぜ。」

そして、最後に・・・・修理殿の篳篥を聞かせてくれないかと、そう笑った。私は彼らの歌にあわせて、ただ、懸命に吹いておった。

「昔も今も俺達は遠い日のまま、時の流れが、夢の形変えても・・・あの城郭でつくった翼があるさ。大丈夫さ。ぼろぼろでもまた飛べるさ。」
~THE CHECKERS 「Friends and Dreams」より~

私達は、その後、黙って別れの杯をかわした。もう、誰もなにも喋らなかった。夜明けまで、あと少し。最後の戦いが、はじまる。。。
                   ~つづく~

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2011年11月 9日 (水)

妄想大河「治長殿のつぶやき⑫~大阪夏の陣開戦~

堀がすっかり埋められたのを確認するかのごとくに、徳川軍から、さらなる無謀な要求が、豊臣にもたらされた。相手の心は、もう読めている。和議は、諮られた。家康は最初から、この城を裸城にし、豊臣の御血を抹消してしまおうとなされている。。。

秀頼公は、「ならば受けて立つ」と仰せになっておるが・・・今はその時ではない。
はじめから負ける戦など、私はしとうない。真田殿は「出陣させてくれ」と毎日のように開かれる軍議の際に申してくるが・・・そんな賭けには、私はどうしても乗れない。秀頼殿と、淀の方様の命を・・・私は絶対にあきらめたくないのじゃ。賭けには出られぬのじゃ。。もう少し、時を稼ぎ、城の守りを固めねばならぬ。今開戦すれば・・・それは即ち豊臣の滅亡の時となる。

私は、逸る牢人達を抑えるべく、皆を説いて回った。「恥をそそぐこと、必ず適う。今はその時ではないのじゃ」そして、家康側の国替えの要求の返事を、なんとか延ばすよう徳川方との交渉に加え、ひそかに城の守りを固めと・・・今日も、夜更けまで、城につめておった。

私の城中、城下での評判が貶められているのは、知っている。
大阪の街には、「秀頼君は、秀吉公の御子ではなく、修理が淀の方様を唆し、不義密通の末もうけた子である」などという落とし文や落札が溢れているという。
徳川方の仕業であることなどわかっておる。。。
私は何を書かれようが構わぬが・・・淀の方様を貶めるようなこのような落札、捨ておけない。ことごとく燃やすように命じておるが・・許せない。
徳川のやり方の汚さに、私とて撃って出たい気持ちがある。が、しかし、我慢せねば・・・今は、我慢せねば。あくまで、表立って事を荒げないよう、交渉は続けていかねばならぬ。そのようなことを考えながら、城を退出しようと桜田門にさしかかった。
月のない夜だった…。門の前を黒い影が横切り、剣先がきらめいた。「刺客じゃ」と思い刀を抜いた瞬間、左肩を強烈な痛みが走った。剣が、私の左肩を突き抜けておった。
相手は私に止めをさそうと、脇差を抜き、さらに向かってきた。腹につき立てようとするのを、刀で押さえた。相手の脇差を掴み振り落とそうとするも、左手に力が入らない。容赦なく突き立ててこようとする相手の瞳を睨みながらも、痛みに気が遠くなってくる。。。今、死ぬわけにはいかない。今、私が死んでは、誰が淀の方様をお守りするのじゃ・・・・。
気の遠くなりかけた私の耳に「殿!」という宮川の声が聞こえ、お付の家来衆の走り来る足音が聞こえた。そのまま、私は気が遠くなった。

私は助かった。宮川の叫びに気がついたお付の家来が、刺客を切り捨てたのじゃ。
徳川からの刺客に違いない。
城を裸城にするだけでは、気が済まず、私まで亡き者にする算段であろう。。。私は、死ぬものか。幾度刺されようと、立ち上がって、秀頼君と淀の方様をお守りしてみせる。

私が襲われたことによって、徳川方との交渉が決裂したとの判断がなされ、牢人達は勇みたった。数日熱にうなされ臥せっておったが、討ってでようとしているとの報に、私はまだ怪我が癒えぬまま、城へ向かった。
そこには、真田殿をはじめ、後藤殿、毛利殿、有楽殿、弟の治房、皆が集まり、私の到着を待っておった。

「修理殿!討って出ますぞ!」
「待たれよ・・・」
「むこうに交渉の気がないこと、修理殿を襲撃してきたのが、何よりの証拠。秀頼公のお覚悟も決まった!すぐに、開戦の軍議を開きましょうぞ!」
皆が、私を見ていた。私の決断で、今から、徳川軍を迎え撃つ作戦会議となるのだ。。。
私は、遠くに、幼い笛の音を聞いたような気がした。。。
私は首を横に振るしかなかった。

そこへ、偵察に出ていた真田十勇士が、走り入って参った。
「徳川軍10万軍、すでに駿府をたち、こちらへ向かっておりまする!他の大名達もそれぞれの国を離れ、大阪城に向かって進軍いたしておる次第。明日の夜には、大和に入ってまいります!」
「修理殿!ご決断を!」くちぐちに皆が声をあげると、私は囲まれた。
私は、希望が絶たれたことを知った。前をまっすぐ見据えた。短い沈黙が流れた。
と・・・・十勇士の一人が、突然、力強く太鼓を叩き、リズムをとりはじめた。
幸村は、そのリズムにのり始めると、一歩進み出で、私に向かって、「OK!治長、聞いてくれ!」と叫んだ。そして、それを合図に、真田バンドがいっせいに奏ではじめ、皆が、私を囲んで、歌い始めたのじゃ。

幸村「徳川にやられて、エンジンいかれちまった。おいらの真田丸、とうとう潰れちまった。
どうしたんだい。hei!hei !治長!バッテリーはびんびんだぜ!いつものように、キメテ、出陣しようぜ!」
治房「そりゃあ、酷い負け方、したこともあった。だけど、そんな時にも、お前はしっかり。どうしたんだい。hei !hei!治長!機嫌直してくれよ。いつものようにキメテ、ぶっとばそうぜ!」
有楽「OH~。どうぞ勝手に討ってくれ。ポシャるまで。UH~いつまで続くか見せてもらうさ」
後藤「こんな夜に、お前が乗らないなんて。こんな夜に出陣できないなんて」
有楽「こんなこといつまでも長くは続かない。いい加減明日のこと、考えたほうがいい」
毛利「どうしたんだ!hei!hei ! 有楽!お前までそんなこと言うの。いつものように、キメテ、ぶっとばそうぜ」
皆「oh~。雨上がりの夜空に、輝く。uh~雲の切れ間に散りばめたダイヤモンド。こんな夜にお前が乗らないなんて。こんな夜に、出陣できないなんて!」
幸村「お前が吹いてる篳篥。感度最高。すぐにいい音させて、どこまでも飛んでく。どうしたんだい。hei!hei !治長!バッテリーはビンビンだぜ!いつものように、キメテ、ぶっとばそうぜ」
皆「oh~。雨上がりの夜空に輝く、ジンライムのようなお月様。こんな夜にお前に乗れないなんて。こんな夜に出陣できないなんて!こんな夜にお前が乗らないなんて!こんな夜に出陣できないなんて!」

なぜか、宮川が持ってきていた篳篥を渡され・・・いつのまにか私は、演奏に参加しておった。もう・・・・徳川方は戦いの火蓋をきっておる。待っているだけでは、この裸城・・・逃げ場はない。最後の戦いじゃ。行くしかあるまい。

演奏が終わると、私は、幸村にこう言った。
「OK ! 幸村!行かれよ!真田殿の本懐とげてこられよ。家康の首、あげてみせよ。私も、私の戦いをいたす。城を守り、秀頼公と、淀の方様、なんとしてもお守りいたす!」
幸村は、私の目を、しっかと見据え、やがて笑った。
「OK ! 治長!感謝いたす!お互い、恥のない戦をしようぞ。そして、いつか、必ず、共に、でっかいパーテイーを開こうぞ!」

作戦は周到に立てられた。先鋒は私の弟の治房。今夜にも大坂を立って、峠を越えさせ、大和郡山城を落とさせ、ここで徳川軍の大坂への進撃をまず食い止める。堺より、こちらには徳川軍を一歩もいれさせない覚悟じゃ。皆が幾重にも重なり、大坂には一歩も入れさせない。秀頼公と、淀の方様は、戦いの音を聞くことはないであろう。城は裸城だか、野は広い。山もある。大坂の地形が、われらを守ってくれるに違いない。たとえその網を抜け、近づく者あろうものなら、この修理が、決して通さないであろう。見ておれ。家康。徳川の思い通りに、事運ばせてなるものか。
私達は、勝どきをあげた。負けるものか。大坂を、豊臣を、秀頼公を、そして・・・淀の方様に指一本ふれさせてなるものか。今度こそ、本当に、最後の戦いじゃ。 

                     ~つづく~

      リスペクト「雨上がりの夜空に~忌野清志郎~」より 

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2011年11月 4日 (金)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑪~冬の陣~

期待通り、真田殿のお働き目覚しく、・・城を囲んだ大勢の徳川軍も、手をこまねいて苦戦しておる。今が、一気に攻めだす時かと。秀頼公が御自ら、ご出陣の声を上げる時。その御姿が、皆の士気をあげ、徳川方を追い込め、それに呼応して、豊臣恩顧の大名達も駆けつけてくれるに違いない。その折は、私も秀頼殿のそばを離れず、しっかりとお守りする所存じゃ。私は、勢いよく淀の方様に、申し上げた。
「今こそ、秀頼公ご出馬のときにござりまする!」
「ならぬ・・・」
淀の方様の表情が曇った。。。
戦がはじまってこの方・・・弱気など見せられず、むしろ「戦いが終わる時・・・それは家康が死ぬときじゃ・・・」と強気でおありになった淀の方様。が・秀頼君ご出陣の一言に・・・一瞬、崩れるように揺れられたのであった。。。

そして、表情とは裏腹に・・・鎧を持てと仰せになられると・・・自ら甲冑を着込み・・・荒々しい牢人どもの前に立ち、秀頼君にかわって、「もう一息じゃ!ここを持ちこたえれば、再び豊臣の天下が持たらされようぞ!」と、声をあげられたのだった。。。
その甲冑姿が・・懸命勇ましくしておられる姿が・・・私には、やはり弱い女人であられることを思い起こさせ・・・言葉を失ってしもうた。何か・・・・私は、大きな間違いを、犯してしまったのではなかろうか。

淀の方様は戦いを望んでおられた。そして、勝利を信じておられる。が、しかし、その前に母であり、女人であらせられる。

大事なことが分かっておいでにならない。。。わが豊臣のために馳せ参じた10万人の牢人達は・・・みな豊臣の・・・秀頼公の名のもとに集まってこられ、命を賭けておられる。。。その大将たる秀頼公が、出馬する気がない。それでは・・・誰もついて来ぬ。淀の方様は、彼らにとっては、旗印にはなりえないのじゃ。。。
そして、その旗印たる秀頼公は、はじめから和議の誘いに乗ろうとなされておられる。戦いを続ける気がないときては・・・・付き従う大名など、出てくるはずがないではないか。。。

そうこうしているうちに、家康が、わが大阪城に向けて、大砲を打ち込んでまいった。淀の方様や侍女達が住まう場所を知っての砲撃。わが軍の予想以上の攻撃に、卑怯極まりないやり方で返してきおった。侍女に死者も出、城の女子達はおびえ・・・そして、元から和議を願うておいでになった秀頼殿の決心は固くなり・・・。
そして、私も・・・・。もう、甲冑を纏うた痛々しい淀の方様を見とうないと思うた。戦いは、男子たるものの勤め。それを秀頼様ではなく、御自らが男になりて、なさろうとされるなら・・・・彼女はいつか壊れてしまうであろう。。。

そして、和議が結ばれた。「私の息子と有楽殿の母君が人質として徳川方に下ることで、秀頼殿と淀の方様の御身はそのまま・・・大阪城にいたっては外堀だけを埋める」という沙汰を、常高院様が持ち帰り、戦いは収束した。。。ただの負け戦ではない。徳川方も豊臣の戦闘力に怯えたからこそ、和議を申し出たのであろう。。。これ以上犠牲を出したくなかったのであろう。そうそうまた簡単に戦いを起こそうとは思わぬのではなかろうか。。

まだ幼い息子を送って・・・茶臼山まで、参った。麓で、小さな手に、横笛を握らせた。
「徳川方には、そなたの叔父上もおられる。けっして、粗末にはされぬよう、よく頼んでおくゆえ・・・。さみしき折は、これを吹かれよ・・・」と、頭を撫でた。横笛を手に嬉しそうに笑う、何も分かっておらぬ幼き息子の頭を撫でながら、泣いてはならぬと思うた。この命・・・失いたくない。。。そして、淀の方様と秀頼公の命も、お守りする。。。このまま、徳川と豊臣、並び立ち、次の世代にまで、平穏が続くよう、、、私は、精一杯、働かねばならぬ。徳川との対応を間違ってはならない。。。ひとつ間違えば・・・私は、すべてを失うであろう。。。

茶臼山で、家康と対面した。
憎き家康。が、しかし、和がなった今、ここは、両家の和睦を確かなものにしておかねばならぬ。私は態度を誤ってはならぬ。。。家康は某をみると、形をくずし、「修理殿。今回の働き、あっぱれであった。修理殿はこれまで若輩者だと思うておったが、このたび、大阪篭城の張元となって戦った有様をみれば、武勇は言うに及ばず、秀頼への忠節も浅からず覚える」
はらわたが煮えくり返るような気持ちで聞いておったが・・・ここは表情には出さず、「ありがたき言葉、おそれいりまする」と、丁寧に頭を下げた。奥歯をぐっと噛み締めて耐えた。
すると、家康は、私の肩衣を脱がすと、家来にあたえ、
「そちも、修理殿にあやかれ」と、高笑いをいたした。私は、その一連の芝居のような場所にいて、台詞を違えてはならぬ人形となっておった。

和議がなりたって、幾日もせず、徳川が二の丸まで埋めにかかっているとの報がもたらされた。私は、慌てて、二の丸に向かった。大勢の徳川勢がいっきに、わが大阪城の堀を埋めておる。外堀だけとの約束を違え、三の丸、二の丸、某の屋敷すら、壊しにかかっておる。篳篥のみあわてて取り出してきたという宮川の報によると、真田丸も、もはや形なう壊されているという。。私は、慌てて、止めに入ったが、どの面々も、「豊臣の手助けをしておるのじゃ」と、取り付くしまもない。。。私は・・・まったくの無力だった。
どんどん土が投げ込まれ、壊されていくのを、止めさせることもできず・・・・。

「恥をそそぐこと叶いまする!」と箴言して、和睦を勧めたとき、何か張り詰めたものが切れたかのように・・・私の前で、涙を流された淀の方様の横顔を思った。横笛を嬉しそうに手に遊ぶ息子の顔が浮かんだ。。。私は、まったくの無力だった。。

あっという間に埋め立てられた堀の上を、とぼとぼと力なく歩いた。・・・もはや武将でもなんでもない・・・廃人だった。私は私自身を蔑むように、つぶやいた。

「この眼に映る風景が、昨日と違う、BLUE BLUE BLUE
おんなじ街を歩くのに、涙が落ちる SO BLUE
あの娘は行ってしまった。こんなに愛してるのに。
すべての、努力も、あっさり・・・水の泡。。。
行きかう街の人々と、おんなじ男に成り下がった
下世話なことで右往左往。
努力も、忍耐も、さっぱり水の泡。。。

おんなじこの眼に映る、悲しくも楽しくも見える、浮気な風景。
真実はどこに見える。虚ろなこの目の中で・・・もう、あの娘は笑わない。
この眼に映る風景が、昨日と違う・・・BLUE BLUE BLUE・・・・」
      (水の泡 ~ラフィータフィ~「秋の十字架」より)

私は、うっすら春の光がさす土煙の中で、膝をおとし、蹲った。

と、そこに、突然、「殿!こちらにござる!なにを黄昏ておられるのじゃ!」と、宮川の声が聞こえてきた。見ると、宮川は、鍬を持ち、穴を掘っておる。
「何をしておるのじゃ」
「見ればわかりませぬか!埋められたものは、掘り返せば宜しいではござりませぬか!」
また、言葉を失った。宮川には、本当に、驚かされる。
「殿、覚えておいでにはなりませぬか?関東に流された折、村人に頼まれて、井戸を掘られたではありませぬか!殿の二の腕をもってすれば、井戸だろうと、堀だろうと、すぐに、また、水をなみなみと、廻らすことも夢ではありますまい!」

私は、宮川に、無理やり鍬を持たされると、なんだかわからぬが、夢中で掘っておった。
考えるのは、後じゃ。。。今はとにかく汗を流していたい。。。
                   ~つづく~

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2011年11月 2日 (水)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑩~幸村との出会い~

豊臣側の呼びかけに、関が原で西軍について領地を失った牢人達が10万人、ぞくぞくとはせ参じてやってまいった。
頼みにしていた豊臣恩顧の大名達は、皆徳川を怖れてだんまりを決め込んでいるが・・・それでも・・・・人心は、必ずこちらにあると踏んでいる。
そもそも、徳川殿は、いまだ豊臣の家老職にある身・・・徳川が豊臣を打とうとすること自体、天を愚弄しておる仕業。現に豊臣に恩を感じておられる福島正則殿は、蔵を開放して、兵糧米8万石をも寄進してくださった。商人達も皆豊臣びいきで、食料、武器、すべて潤沢に城へと運び込まれている。。。・・・・有難い。。。。これで、10年篭城しても、食料にことかかない。10年持ちこたえれば・・・家康など、怖いものはない。。。

ただ、この牢人達、10万人・・・すべて、名が聞こえておらぬ。
それを淀の方様は、不安に思っておられる。。。
まあ・・・なんていうか・・・若干ミーハーなのであられるかな。。。
いかにも、戦国無双的?かっこいい兜とかで、颯爽とあらわれる有名武将とかが、わらわを助けにはせ参じてくれる?的な感情をお持ちであるのであろうか・・・・。
正直・・・・ちと面白うない。。。。
私では、ご不満か?

私とて、この二の腕と、胸板、けっして飾り物ではない。武術だって、それなりに自信はある。だが、いざ戦いになれば、司令官としての仕事を担うこともある身・・・。つまり今、私は軽々しく打ってでられるだけの身の軽さがない。それを許されてはおらぬ。。。かわりに、先頭に立ち、牢人10万人を引き連れて、前線にたってくださる頼もしい武将・・・将たるにふさわしい御仁はおられぬものか・・・。
正直、はせ参じる牢人どものなかに、どうしてもこの人物という決め手がわかない。。。
織田有楽殿は、なにか逃げ腰である。重成はいまだ若すぎる。。。早くからわが豊臣の力になろうと立ち上がってくれた毛利勝長殿と、後藤基次殿・・・・この方々と共に立って遜色ない名家の武将・・・。。。

そんな中、宮川が九度山に蟄居させられている真田殿に是非お声をおかけしてはと、言ってきた。。。真田幸村・・・・。確かに父君の真田幸隆殿は天下に聞こえた名将。。。が、しかし、ご本人の幸村殿は・・・若い折よりずっと蟄居させられてる不運の御身。。。正直、その人物がいかほどのものか・・・・判断しかねておった。
が、しかし・・・宮川の人を見る目・・・・そこを信じてみようと思い、幸村殿に、宮川を通じて、書状を運ばせておった。。。

そして、幸村殿は徳川の見張りの隙をかいくぐり、村を抜け出し、今夜、わが屋敷に到着の挨拶にまいると、宮川がすごい勢いで知らせに参った。
「殿!あの幸村殿が門前においでになっておりまする!すぐ篳篥をお持ちになり、お出迎えくださいませ!」
・・・なぜ、そこまで喜ぶ。。。その勢いで、幸村殿の家来になりたいとか言い出しそうな雰囲気じゃ。。。私は・・・ちと面白うなくなった。。私は、いまや豊臣を背負って立つ男だというに・・・軽々しく走ってでられるかっつ~の。。。ふん。

と、ちょっといじけて、部屋に篭って篳篥の手入れとかしはじめていたら・・・・なにやら、遠くからほら貝の音が聞こえてきた。。。それにあわせて、太鼓、笛、聴いたこともないような弦の音・・・なんともいえない心地のよい調べとともに、歌声が聞こえてきたのであった。。。

宮川がまた叫んだ。
「殿!幸村殿が歌うてござる。演奏するは、真田十勇士!」

私は、その聞いたことのないような調べに・・・誘いだされるように、いつのまにか走っておった。。。門の前、幸村殿と思われる姿勢のよい御仁が立っておられる。そして後ろに控える10人の戦士バンドが、はじめて聞くような音を奏でておる。
ぞくぞくいたした。私は、自分の篳篥を置いてきたことを後悔した。。参加したかった。。。
そして、幸村殿が・・・呆然と立っている私を見つけると、まっすぐにこちらを見据え、歌いだした。。。


「高く聳え立つ山々にも登ったし
幾つもの戦地を切り抜けて来た
ただ君と一緒になるために
ただ君と一緒になるために
僕は走り回るように進み、
街の壁という壁をよじのぼってきた
ただ君と一緒になるために

それでも僕はいまだに見つけていない
自分が探し求めるものを
それでも僕はいまだに見つけていない
自分が探し求めるものを

僕は天使の舌で喋ったけれど、
悪魔の手を握ったときのほうが
冷えた僕の体には温かかった・・・

僕は、神の国を信じている
やがてすべての色はひとつに溶け合うだろう
それでも僕は走り続けている

君は束縛を断ち切り、
鎖を解き放ち、
十字架を背負ったんだ。

そして、僕の恥辱をも
僕は信じてるってことを君もわかるだろ。

でも僕はまだ、探しているものを見つけてはいない。」
(Ⅰ still haven't found What Ⅰ'm looking for/U2「The Joshua Tree」より)

歌い終わると、幸村殿は、叫んだ。
「修理殿!某、豊臣にお味方いたす!ともに戦おうではござりませぬか!」

鳥肌が立った。。。すっげ~感動だった。。。
すぐに屋敷にお通しすると、酒宴を設けた。
とにかく、聞きたかった。その様なバンドをどこで集めたのか・・・ではなくって、なぜ、今、この豊臣のために、立ち上がる決意をしてくださったのか・・・。

幸村殿は静かに語った。
「私は、これまで、自らの力で、生きているという実感も持てずに、九度山で生活しておりました。あの場所にいれば、このまま温かい穏やかな生活が送れたかもしれない。だが、私が私の人生をそれで終わらせてしまうことに、どうしても我慢がならなかったのでござりまする。。。私は私の生というものを、私の力を試してみたい。そんな折、宮川殿が、何度も九度山にお越しくださり、徳川の策謀にねじこまれるかのごとく貶められてる豊臣の窮状・・・それを救おうと奔走されておられる修理殿のお人柄等・・・私が立つのは、はじめて自分の力を試す場所は、豊臣。そう、確信したのでありまする。。。ただ、ひとつ聞きたいことがありまする。。。修理殿は、晴れて徳川を倒し・・・豊臣の世となれば・・・まず、どのような世をお作りになりたいと思うておられるのか?」

私は・・・言葉に詰まった。秀頼殿が将軍職を継ぎ・・・淀の方様はお気を煩わせることもなく・・・そして、総司令官として戦った私は、勝利を得た暁に・・・どのような国に致したいのであろうか・・・。しばらく、目を瞑って・・・静かに考えた。。。そして、私は、口を開いた。
「パーティーを開きまする。。。日本中、敵も味方もなく、歌い、踊り、奏で、笑い・・・数ヶ月に及ぶ大パーティーを。。。。」

幸村殿は、杯をとめて、私を、ぎっと見つめた。。。
やばい・・・・正直すぎたかの・・・。やっぱ、帰るとか、言い出してしまわれるかの。。。

と、幸村殿は、爽やかに高笑いされると、

「よし!乗りました!修理殿!徳川との戦いに勝ち、ぜひ、ご一緒に大きな大きなパーティーを開こうではありませぬか!修理殿の篳篥の噂は、九度山にも聞こえてござった。ぜひ、わがバンドメンバーと、その折はセッションしていただきましょう!・・・いやはや、出て参って本当によかった。私の束縛をたちきってくださり、鎖から解き放ってくれ申した修理殿。そのお申し出に感謝いたしまする。この上は、修理殿と同じ十字架のもと、戦おうではありませぬか」

もう、なんていうか・・・・「キタ~!」って、感じの、はじめての感触であった。某も、はじめて生きている実感をもてたような気がいたした。
ぜひ、一緒にバンドを組みたい・・・じゃなくって、一緒に戦いたい。とにかく嬉しかった。さっそく淀の方様にもご紹介せねば・・・。けっこうイケ面だし・・・ちょっとかっこいい赤い武具とかつけて粋でもあるし・・・きっと、心強く思われるであろう。。。やっぱ劇的な感じに演出せねばの・・・・。明日、登城の際、・・・・私より少し遅れて、真田殿には、さぞ今駆けつけてまいったがのごとく現れていただき・・・淀の方様を驚かせよう。
淀の方さまが、喜ばれる顔を想像すると・・・・明日がくるのが、楽しみでござる。
                   ~つづく~

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2011年10月28日 (金)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑨~武者のすべて~

淀の方様は、「治長・・・。戦じたくをせよ」と仰せになった。。。

すっげ~色っぽかった・・・。おっと失礼、下品じゃの。
だが某思わず・・・・「しかし!」と・・・・まるで且元殿のように、遮ってしまった。。。
「備えじゃ・・・あくまで備えじゃ・・・」と仰せになったが・・・・・。

まずいな・・・と思ったのじゃ。。。
急ぎ、宮川を呼ばねばならない。
淀の方様にばれる前に・・・天守閣にかかげた「めちゃ×豊臣をアイシテルオーディション」のポスターを、二人して、急ぎはずしてしまわねば・・・。
なぜか、あのポスター。私のサイン会と演奏会の印字の方が大きかったせいか・・・・集まってくるのは、ファンクラブ会員になりたいとか、バンドのメンバー募集だと勘違いした面々ばかりで・・・そして、なぜか皆が歌う。・・・・しかもみんな歌が下手。。。刀など、誰もさしておらぬ。某の胸板を透視しようと目を凝らす町娘までやってくる始末・・・・大騒ぎじゃった。。。。戦支度など、できるはずもない。。。。

ちと、間違えたようじゃ。。。。ばれたら、さぞかし淀の方様に叱られるであろう。。。。

やはり、水面下の工作により、豊臣恩顧の大名達、関が原で破れた武将達の動向を、宮川に探らせ、連絡をとろう。食料の蓄えを万全にするため、豊臣に恩のある大名や町人から、さらなる米の寄進を望もう。。。私は・・・・どんな辛苦にも耐えられるが・・・・唯一、お腹がすくと、やる気がでなくなるからの。

集まってくる牢人達の面会をしつつ、密かに武具の調達等、戦支度をしつつ、忙しく過ごしておったが・・・・且元殿は、二ヶ月たっても、家康との面会も果たせず・・・駿府で留め置かれておった。何をしておるのじゃ。待っているだけで、何もせぬとは、ほんとに、役に立たないお方だ。。。。しびれを切らした私の母である大蔵卿の局は、且元殿の帰りを待たずに、家康殿に面会にまいると出かけてしまった。そして、家康殿は、鐘のことなど、気にしておらないと・・・そう笑っておられたとの報告を持ち帰っておいでになった。

ほっといたした。。。戦支度をしながらも・・・出来ればそのような危険な賭けには、まだ出たくないと思っておったのが内心。力を温存させながらも、このまま秀忠殿の代にたちかわり、徳川が脆弱になる機を待つ方が、得策だとはかねてから思うておった。もうしばらく時がほしい。。。

すると、2ヶ月も留め置かれておられた且元殿が、やっと大坂城に帰ってまいったのだった。且元殿は、家康殿の諒解を得るどころか、なんと、「大坂城を明け渡す。秀頼様が江戸に参観する、または淀の方様のお身柄を人質として江戸へ送る・・・」その三つの中から、一つ選べなどという・・徳川からの最後通牒を、のうのうと持ち帰ったきたのじゃった。完全な屈服ではないか!戦に負けた敗戦の折のような約定ではないか。
鐘の文ひとつで因縁をつけられ、その疑いを晴らすどころか、こちらが下手に出れば、このような始末。それを且元殿は、条件をのみ、従うように、淀の方様に箴言いたすとは。
気でもふれられたか。やはり・・・徳川の息がかかっているのは、間違いない。
母に見せた家康の顔は、作り物であろう。家康は、この豊臣の力を、徹底的にそごうとしておられる。城を出て、淀の方様、秀頼君が、安泰のはずがないではないか。
今までのように・・・人知れず命なきものにされた人質が・・・・幾多あろう。。。
そんな案、のめるわけがない。なんの反論もせず、このような馬鹿げた案を持ち帰るなど・・・使いにいった意味がないではないか。

私は、城の廊下で、且元殿をまちぶせした。
且元殿は、私をみると、逃げるように立ち去ろうとした。逃がすわけにはいかない。

治長「何ということを!家康に会いに駿府へ行くということが、どのような意味を持つか、わかっておいでにはならなかったのですか!」
且元「つまりは、今は、むこうの案をのんで、豊臣の血を守ることこそが、大事なのだと」
治長「相手は、家康ですぞ!豊臣の力をそいで、そのまま、取り潰そうとなさるに違いない!且元殿は、豊臣のそれでも家臣でござりまするか!」
且元「・・・・なれど・・・・この案を呑まぬ場合は・・・戦もあると・・・・そう、相手は申しておるのじゃ・・・・。仕方が無いではないか・・・」

この言葉で・・・・・私は、決意いたした。

且元殿とは、私は、違う道を選ぶ。。。
且元「治長殿?」
治長「こうなったら・・・・出て行ってもらうしかあるますまいな・・・。且元殿が、寝返ったと・・・城内みな、そう思うてござる。。。。淀の方様も、秀頼君も・・・そして、この私も・・・。このまま、おいでになられれば・・・・お命の保障さえ・・・・できかねまする・・・」
且元「・・・・・」

私達は、しばらく睨みあって、立っておった。
そもそも、城に馬廻りとして勤め始めた私を・・・「気配りのできる奴じゃ」と、取り立ててくれたのも且元殿であった。途中から、考え方が食い違い、対立することも多かったが・・・豊臣をお守りしようという同じ旗のもと、懸命に遣えてまいった年月が長かったことは、間違いない。なぜ、家康の口車に乗せられてしまうような、情けない御仁に成り果ててしまわれたのか。。。

すると、突然、且元殿が、また脇差を抜くと、それをマイクに見立てて、歌いだしたのだった。

且元「とどまることを知らない・・・時の中で、
いくつもの・・・滅び行く武将達を・・・眺めていた。
焦りすぎて消えた見果てぬ夢の面影を、すれ違う若君に重ねたりして。
無邪気に人を裏切れるほど、何もかも欲しがっていた。
わかりあえた友の愛した家でさえも。
償うことも出来ずに・・・・痛みを抱き・・・
夢中で駆け抜けるけれど、まだ、明日はみえない。
勝利も敗北もないまま・・・孤独なレースは続いていく・・・・」

これは、きっと、且元殿の別れの歌じゃ。。。。
私も、そう思ったら、いてもたってもいられず、脇から篳篥を取り出すと、いつのまにか、間奏を奏でておった。且元殿は、涙を流しながら、私の演奏をじっと聞いている。。。私も歌わなければ。。。

治長「人は、悲しいくらい、忘れていく生き物。遣える喜びも、さみしささえ。
今より、前に、進むためには、争いを避けて通れない。
そんな風にして、世界は、今日も回り続けてる。
果てしない闇の向こうに、~手をのばそう。
誰かのために生きてみたって、~tomorrow never knows
心のまま僕はいくのさ。誰も知ることのない明日へ・・・・」

そして、篳篥を思い切り吹き込むと、某も、なぜだか涙がこぼれてまいった。
且元殿は、某の奏でる音を聴きながら、城を去っていかれた。。。

優しさだけじゃ生きられない。。。。別れを選んだ人もいる。。。
再び僕らは出会うだろう。。この長い旅路のどこかで。。。

そして、私は、決意いたした。私は、私の夢を描こう。
一度は天下を取った豊臣じゃ。その世が、今後もずっと、続くために・・・。
最後の戦いじゃ。この戦いが終われば・・・・天下泰平も叶うのじゃ。
果てしない闇のむこうに手をのばせば・・・きっと、明日がやってくる。
癒えることのない痛みが伴うなら、それは、すべて私がひきつれていこう。
明日など、誰も知らないのだ。私は私が信じるものに、命を懸けよう。

~つづく~ 「tomorrow never knows/Mr.chilldrenより参照」

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2011年10月26日 (水)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑧~月の夜~

「そちは、悪い方に悪い方に考える・・・・」
今日は、秀頼君に、直接、そんなことを言われてしまった。。。
最近、自分でもそう思う。。。けっこうネガティブな某・・・・。メモっておこう。。。
「明日からは、ポジティブになれますように・・・・」

そうこうしていたら、あの家康殿がまた、大坂城に難題をつきつけてきた。。。
且元殿がはりきって推し進めていた方広寺での法要を前に、寺に寄進した鐘の中の文字に「国家安康・・・君臣豊楽」とあるのが、家康殿の名前を二つに割って、豊臣の世を願う呪いの言葉だとかなんとか、いちゃもんつけてきやがった・・・おっと、失礼、言葉遣いが悪いのぉ・・・・まあ、クレームをつけてこられたのである・・・

とんでもないクレーマーである。

クレーマー対策1
「 言葉遣いはきっちり丁寧に相手を立て、が、しかしこちらに不備はないことは、しっかり何度も確認の上・・・どうしても、向こうが引き下がらないなら、新しいものを送る。」

これが、一番だと、私は常々思っておる。
「鐘を新しく作り直せばいいではないか・・・」と、ちらっと思ったものの・・・・淀の方様が激高してるさなか・・・・とてもそのような暢気なことを、言い出せずに心にしまってしまった。。。
それにしても、且元殿も情けない。。。そのようなクレーマーに付け込ませる隙を作ろうとは・・・・。慌てて駿府に申し開きをしに行くと出かけていったが・・・・大丈夫であろうか。。。あのお方は、家康殿に強気に出られると、すぐに心小さくなってしまわれる傾向がある。。。謝るだけでは、またすぐに新しい言いがかりをつけて、何度もクレームを送ってくるに決まっておるのだ。。。毅然となされねばならない。まあよい・・・常々、且元殿の徳川贔屓に城内の御家来衆の不満も溜まっておる。ここで、このクレームを見事抑えてこそ、且元殿の豊臣への忠誠も、推し量られようもの。。。お手並み拝見いたそうではないか。

且元殿を駿府に送り出したその夜・・・・私は、突然淀の方様に呼ばれ、大坂城に登城いたした。静まり返った暗い廊下を急ぎ歩きながら・・・このようなお時間に私一人およびになるとは、何事であろうか・・・やはり鐘の件で、お心乱れられ・・・眠られずにおられるのであろうか・・・。
淀の方様の寝所の前につくと、控えておった侍女が
「修理殿・・・・。淀の方様がお人払いをせよとのことですので、私達は下がらせていただきます」と、恥ずかしげに申し、ばたばたと立ち去るではないか。。。。

母さん・・・・僕は・・・ドキドキしていた。。。

人の消えた廊下・・・淀の方様の寝所の前・・・立ち尽くしてしもうた。。。
襖の向こうに、淀の方様の影がある。。。息遣いが感じられる。。。
だか・・・・私は・・・どうしても、その襖を開けられずにいた。

淀の方様が、お人払い?。。。私と二人きりにせよと・・・本当にそのようなこと、仰せになるであろうか?・・・・・ドッキリか?開けて一歩踏み出せば、落とし穴があるのではなかろうか。それとも上からタライが落ちてくるとか・・・。

私は、後ずさりし・・・・振り向くと、庭に下りる階段を一歩降りた。

月が美しかった。こんな夜は・・・・私の篳篥も、きっと普段より澄んだ音を、淀の方様に聞かせてあげられるであろう。。。そうだ。私は、ここでよい。ここで一晩中、奏でて進ぜよう。そして、不安なお心を鎮めて進ぜよう。。私は階段に腰掛け・・・・脇にしまっておいた篳篥(ひちりき)をとりだした。

月明かりに照らされて・・・私は、私の調べを奏でた。。。
「Moon Light Prayer」

襖の向こう・・・・淀の方様の気配がある。じっと耳をすませておられるのが、気配でわかる。。。。私は・・・・ただ、そのことが嬉しかった。聞いてくれている。。。それで、十分ではないか。。。
私は次の曲を・・・いつのまにか・・・つぶやくように、歌い始めておった。

「愛は・・・・・河に似て・・・人は・・・・溺れる。。。
愛は・・・・するどいものを・・・魂も・・・つらぬく・・・・
愛は・・・・植えること・・・。限りないもの・・・・
愛は・・・・花に似て・・・あなたはその種・・・・」

気持ちが高ぶり・・・私は立ち上がり、階段を降り・・・庭に進み出た。。。。

「愛を失うことを人は、怖れる・・・
失うことを怖れて何もできない
愛を怖れては与えられない
死ぬことを怖れては生きてはいけない」

そして、思いをこめて、篳篥を奏でた。
私の思いは、篳篥の調べにのせてお伝えするだけ。篳篥は嘘はつけない。。。

「愛は生きる望み、愛こそ命
やがて春が来て薔薇の花が咲く」
(THE ROSE~箱舟DVDより~」

歌いきって・・・空を見上げると・・・・突然、拍手の嵐に包まれた。。。
はっとして、我にかえると、さっきまで、人っ子一人いなかった廊下や庭に・・・隙間もなく侍女や御家来衆がひしめきあい、こちらに向かって、拍手しておるではないか。。。
なんだか、ちょっと、驚いて、でも、やっぱ、アンコールのコールもかかるから・・・・次はどの曲にいたそうかなどと、あせっておると、淀の方様の部屋の襖が開いた。。。
「治長・・・。何時だと思っておるのじゃ。私は、大事な話があるから、人払いをせよと命じたのだ。そちのコンサートを開けと申した覚えはない!徳川の横暴に対する作戦会議じゃ!」
私は・・・・先走ってしまったようじゃ。。。ポジティブにもほどがあるではないか・・・。
                           ~つづく~

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2011年10月18日 (火)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑦~ALL IS FINE~

秀頼君が、家康の招きを承諾して、・・・伏見に登城いたした。
そもそも豊臣の家老職にある家康に、わが秀頼殿が挨拶に出向くなどということは筋違いじゃ。。。されど、淀の方様には・・・我慢していただいた。もう、しばらくの我慢じゃ。家康殿は、齢71。それに対して、わが秀頼君は、御齢19。われらが豊臣の、朝日のような存在じゃ。「今を我慢しておられれば・・・おのずと道は開けまする」と・・・そのように淀の方様を説得いたした。

だが・・・どうも、甘かったようだ。。。

家康は、大坂城を囲むように、築城をはじめておる。。。
これは、どうみても、御自分の命あるうちに、わが豊臣を潰してしまおうと、そうお考えのことくらい、私とて分かる。嵐は近い。。。避けられぬであろう。。。

ならば、どうすればよいのか。
大きすぎる徳川の威をかわして、この豊臣の天下を安泰にするには。。。

家臣一体となって、知恵を絞らねばならぬのに・・・
この大坂城の中は・・・・誰一人として、信用ならぬのだ。
徳川の諜者(スパイ)が城に潜入しているという噂を耳にするたびに・・・城中会議に出席する面々・・・・どのお方も、家康の息がかけられてるような気がするのだ。
私は・・・私の頭脳のみを頼りに・・・豊臣の天下を守る・・・それを成し遂げねばならぬ。。。

なかでも且元殿は、あやしい。。
しきりと、淀の方様に、寺の普請を薦められておる。神仏に祈り、豊臣の安泰を願うためと、あちらこちらに、寺を普請させている。。。

徳川方が我が大坂城を攻めるために城を作ってる最中、豊臣は寺の普請とは、いくらなんでも呑気がすぎるではないか。。。
私は、今日も、淀の方様を訪ね・・・・寺の普請に城の金品を無駄に出費するのは、やめて頂けないかと、進言してまいった。。。

だか、淀の方様の意思は固い。
最近では、癇を起こすことも多く・・・私の進言など聞いてくださらない。。。
神仏に祈ることだけが・・・・彼女の重圧を取り去る方法なのだとしたら・・・それも、いたしかたないのかもしれない。私には・・・彼女を救うことができない。彼女は、私の手を取ろうとはなさらないであろう。。。
ならば、人知れずとも、その重荷は全部私が背負ってさしあげよう。。。
考えるのは、私だけでよい。もしこの先、鬼にならねばならぬことがあるのなら・・・・手を汚すのも、私だけでよい。

とにかく今は無駄な出費を避け、いざという時に備えなければ。。
城の諜者どもなど、いっそのこと、城からすべて追い出してしまうことはできないだろうか。
むしろ、城の外にあり・・わか豊臣を慕ってくれる豊臣ファンを招きいれ、豊臣の危機を乗り切ったほうが・・・良いのではあるまいか・・・・。
そんな思いを、城からの帰り道、家老の宮川権右衛門に、漏らしてみた。。。

宮川は、私が関東に流された時にもつき従い、関が原の折にも、ともに戦った長年の友である。私が一万石の大名となった今は、大野の家を守る家老として、日々勤めてくれておる。唯一私が、城の内向きの相談もできる男である。

宮川は、難しい顔をしたあと、「あ!そうだっ」と、素っ頓狂な声をあげた。
「豊臣の、ピンチをチャンスに!『日本全国豊臣レギュラーメンバーオーディション』を開催いたそうではありませぬか!」


言葉を失った。なにその無茶ぶり。。。

でも・・・もしかして・・・。イケるかも・・・。
わが豊臣を真に愛し、助けになろうとする頼もしい武将達を、集めることができるのではないか。。。まっすぐな嘘のない気持ちで豊臣ファンの諸将が次々と、この大坂城にはせ参じる姿を目に浮かべると・・・私は・・・心が踊るような気持ちになってまいった。

「いいぞ宮川!さすが、わが大野チームの家老!さっそく城の雑務室に戻って、オーデイションのポスターをつくろうではあるまいか!」
なんだか、二人して、盛り上がってきてしまった。やっぱポスターのメインは、淀の方様かの。・・・某もやはり、イケメン枠として、写らねばならぬかの・・・。三成殿のところは影にして、ここの位置を募集ってことかの・・・。
宮川は宮川で、「特典として、サイン会、握手会も開いてはいかがでございますか」
などと申しておる。。誰のサイン会じゃ・・・恐れ多くも、淀の方様を、世の荒々しい武将達の前に晒すなどありえない。。。であれば、やはり私かのぉ・・・・。
宮川が出来上がったポスターを、天守閣の壁に張り出した。
「大野治長サイン会、握手会付き・・・・めちゃめちゃ豊臣をアイしてるオーディション開催・・・・(篳篥も披露)」

なんだか・・・・徳川に勝てるような気がしてきた。。。。
すると、宮川がどこからともなく私の篳篥を取り出し、私に差し出した。
「殿の篳篥の演奏が、聞きとうござりまする!」

気持ちはわかるが・・・私の篳篥は、私のみが持ち運びできるものであり・・・勝手にお主が屋敷から運んではならぬと、いつも厳しく言っておるのだが・・・・。まあ・・・よい。
せっかく意気があがっておるのじゃ。私も、ひさびさに、思い切り吹いてみとうなった。

二の丸を開放すると、大坂の城下の町民どもも、皆喜んで、押し寄せてまいった。
みると、お祭り好きな龍子様も、群集に混ざって、籠の中から、こちらを見ておる。侍女達も、家来達も、皆が集まって歌い踊る中・・・・私は、新曲を披露した。
「ALL IS FINE」・・・・そんな言葉が浮かんだ。みなが私の音にのせて、どんどん高揚して、はちきれんばかりの笑顔で踊っておる。。。
この先に、徳川の脅威が、このお城に迫っているなんて、今、この瞬間、すべてが嘘のように思える。。。これが、夢なのか・・・。夢なら覚めなければいい。
そして私は、この者達の笑顔を守るために、すべてを投げ出そうと、心に誓った。
                           ~つづく~

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2011年10月16日 (日)

妄想大河~治長殿のつぶやき⑥~一人じゃないよ~

あれから、6年がたった。。。
私も、妻を娶った・・・。。
「え?どうやって勢いのない面食いである某が、妻を得たのか?」って?・・・って・・・そのようなことはプライバシーじゃ・・・そっとしておいてくれまいか。。
でも、まあ・・・・・・超美人。あんまり美人なんで、絵師がぜひ絵に描きたいと婚礼の日に押しかけてきて・・・でもって、その絵は三名福と呼ばれて寺に飾られておる。(まあ、なんていうか、つまり戦国の世の美人コンクールにお市様と並んでノミネートされちゃうくらいの、超美人。それが妻でござる。(って、ここまでつぶやくと、嫌味かの。・・・でもこれは歴史的にも事実なのじゃ・・・すまぬな侍女達・・・そち達のことも、でも愛してるぜ・・・)
そして、一男二女を儲け・・・冠位も修理亮という地位を得て・・・名実ともに、豊臣を背負って立つ武将となり、今日も大坂城に元気に勤務いたしておる。

徳川も、あれ以来、難しいことは言ってこぬ。秀頼様のお子、国松様も、すくすくと成長して、私の長男とも仲良く、豊臣幼稚園の私は、理事もつとめておるのじゃ。武道も大事じゃが、やはり張り詰めた戦国の世の中で美しい音を愛でる楽しさは大事じゃ。私は、笛と書とお茶を教えて進ぜようと思うておる。

そうそう、この6年の間に、私は横笛を卒業し、篳篥(ひちりき)という縦笛に持ち替えた。やはり、どうしても笛を縦にして思い切り吹き込みたい衝動を抑えることはできなかったのじゃ。なかなか良い感じでの。ファンクラブの侍女会員数も、軒並み増え続けておる。

そんな、つかの間の平穏な日々。今日は、淀の方様の妹御であられる常高院様が、引っ越してこられたのじゃった。常高院様とは、彼女が初姫と呼ばれている頃からの、幼馴染である。生垣に引っかかった羽子板の羽を取って来いとか・・・城下の駄菓子屋で、ソース煎餅買って来いとか・・・いろいろと私を昔から頼りにしておってくださった。よもや初様は、私の顔くらいは、覚えておいでであろう・・。そう思うと嬉しくもあり、挨拶に出向こうと、廊下を歩いておった。

と・・・・淀の方様のお声が聞こえてまいった。
「江が何と言おうと、徳川は敵じゃ!この恨み悲しみ、消えることはありませぬ。・・・いづれ、徳川が滅びる日までな・・・・」

そう、淀の方様は激高されると・・・・静かに初様に抱かれながら、さめざめと泣かれたのである・・・。声をかける機を逃した私は・・・・・その姿を・・・・ただ・・・柱の影から、見守ることしかできないでいた。。。
その泣き声・・・その小さな背中が震えるのを見ながら・・・・わが身の不甲斐なさに対する怒りのような感情が沸きあがってきた。。。

ずっと、淀の方様は、孤独であった。。。
信長殿の姪として生まれ、秀吉殿のご寵愛を受け、堅牢な大坂城の実質的な女君主でありながら・・・彼女は、ずっと孤独であった。。。
その孤独から、彼女を守っていたのは、唯一その気高いプライドではなかったであろうか。。。私は、こんなにお傍に仕えておりながら、その孤独を、理解しようともせず、彼女をひとりぼっちにしていたのだった・・・・。
あの北の庄の城から茶々様の手を取り、逃げ落ち・・・・そして馬を走らせたあの日・・・ずっと茶々様をお守りしようと誓った某でありながら・・・・。茶々様のこと、その孤独や寂しさ、小さな体に受け止めた重圧・・・・・本当には理解をしようとせず、漫然と、ただ生きておったのじゃ。。。。

屋敷に帰り、床に入っても・・・あの、淀の方様の小さな後姿、泣き声が脳裏に浮かび・・・寝付けなかった。。。苦しかった。。。
私は、篳篥を手に取ると、城へ・・・、淀の方様のもとへと急いだ。
篝火が焚かれた城内の廊下を、私は淀の方様のもとへと進んだ。。。何をお伝えしようと思うのか・・・このような行為がどのような噂をよぶのか・・・その時は、まるで考えが及ばなかった。ただ、傍にいてさしあげたかった。。。。

淀の方様の寝室の前で・・・・お付きの侍女に声をかけられた。。。
「治長殿・・・こんな時間に、何用でござりまするか・・・・」

言い訳など・・・何も考えてはおらなんだ・・・。
「いえ・・・」私は立ち止まり・・・・・扉をじっと見つめた。その先に、淀の方様は、きっと、お一人で枕を涙で濡らしながら、長い夜、朝が来るのを待っておられるのか・・・。。。
お一人で耐えることを自ら選んで、強く生きておられる淀の方様。。。。
それならば、私も一人、徳川の横暴から、淀の方様と、この大坂城を守るべく、立ち上がるべきではないのか・・・・。

私は侍女に微笑んだ。
「たいしたことではない。ちと、寺社の建設費のことで、緊急にお話したいことがあっての・・・。だが、もうお休みになっておられるな。明日の朝、また参る。」

そして、侍女に後姿を見送られ、廊下を戻った。角を折れると、また、静寂が戻り・・・私は立ち止まった。目をつぶると、まだ、淀の方様の震える背中、泣き声が浮かんでくる。。。
私は、そのまま坪庭に下りた。向こう側に淀の方様の部屋の明りが見える。。。まだ、やはり、お休みになっておられぬのじゃの。。。
私は、部屋の明りをじっと見つめると、、そっと、つぶやいた。

「君は一人じゃない。
僕は君と一緒にいるよ。
君はいつも僕の心の中にいる
君はひとりじゃないんだ

また一晩すぎて
僕は僕に来るようにと君が叫んでいるのを聞いたような気がした
僕は両腕で君を抱きしめれば君の祈りを聞くことができて
君の重荷を僕が負えるだろう

君が必要なら・・・・僕はすぐに走ってくるだろう。
僕は・・・・ここに・・・いるんだ・・・・」
(you are not alone / michael jackson 訳語から引用)

そして、脇にしまっておいた篳篥(ひちりき)を取り出すと、そのメロデイーを鳴らした。
この調べが、淀の方様の耳に届けばいい。。。
眠れない夜の、せめて、そのさみしいお心を、この優しいメロディーで、少しでも温められることができるなら・・・。
私は、ここで、眠らないで、ずっとずっと、いつまでも吹いて進ぜよう。。。
私は・・・その重荷を、できることなら全部背負って進ぜよう。。。
たとえ、誰に謗られようと構うものか。

             ~つづく~

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